1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:35:55 ID:ZH2u/C/+0


富豪「ううっ……ワシはもうダメじゃ……」

妻「あなた、しっかりするザマス!」

弟「兄貴ィィィ! 死なないでくれェェェ!」

長男「親父、弱気になるな!」

長男嫁「おぬしが死んだら、わらわは悲しいのじゃ……」

次男「ボクらにはまだ、父さんが必要なんだ!」

長女「あたしたちを置いていかないでよ!」

ポチ「ワォォォ~~~~~ン!」

富豪「ワシの遺産は相続税を差し引いても、ざっと1000億はあるじゃろう」

富豪「みんなで仲良く分けるんじゃよ……」ガクッ…



   遺  産  戦  争  勃  発  !  !  !




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:40:13 ID:ZH2u/C/+0


妻「脈拍ナシ、呼吸ナシ、心拍ナシ、ようやくくたばったザマスね」

妻「さあ、お待ちかね。遺産分配を始めるザマスよ!」

弟「うおっしゃァァァァァ!」

長男「余命半年を宣告されてから、三年近くも生きるとは、しぶとかったな……」

長男嫁「まったくじゃ。不死身かと思ったぞえ」

次男「でもこれで、ようやく1000億はボクらのものだ!」

長女「あたし、欲しいものいっぱいあるのよね~」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:45:14 ID:ZH2u/C/+0


妻「生前、主人は遺言を残していなかったザマスから」

妻「こういう時のために弁護士先生を呼んでおいたザマス!」

オォ~……! パチパチパチパチ……

次男「さすが母さん、準備がいいや!」

弁護士「皆さん、はじめまして」

弁護士「ざっくりですが、法律に基づいた遺産の分配方法について」

弁護士「説明させていただきます」

長男「よろしく頼むよ」




10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:51:14 ID:ZH2u/C/+0


弁護士「それでは法定相続人について説明させていただきます」

弁護士「法律上、相続の優先順位は次のようになります」

・配偶者 常に相続者

・子 第一順位(常に相続者)

・父母 第二順位

・兄弟 第三順位

弁護士「第二順位、第三順位の方は、上位相続人がいない場合のみ」

弁護士「相続権を得られます」

弁護士「今回のケースですと……」

弁護士「相続権があるのは、妻さん、長男さん、次男さん、長女さん、の四人です」

弁護士「2分の1を奥様、残りを息子さんたちで分配、となるでしょう」




14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:55:26 ID:ZH2u/C/+0


弟「なんだってェェェ!? じゃあオレは相続権ないのかよォォォ!」

弁護士「はい」

弟「ちくしょォォォォォ!!!」

長男嫁「わらわはもらえぬのか!? 義理の娘じゃというに!」

弁護士「もらえません」

長男嫁「遺産目当てで結婚したのに、なんということじゃ……」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

弁護士「お手」サッ

ポチ「ワン!」シュタッ




15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 22:59:51 ID:ZH2u/C/+0


長男「よかったな、お袋。俺たちだけで仲良く分けよう」

妻「……気に入らないザマスね」

長男「お袋!?」

次男「なんでだよ、母さんが一番多くもらえるのに!?」

長女「そうよ!」

妻「主人が血がにじむ想いで蓄えた財の分配を……」

妻「こんな家族でもない赤の他人の言う通りにするだなんて──」

妻「やっぱりイヤザマスッ!」

長男「た、たしかに!」

次男「そうだね、やり直そう!」

弁護士(なら、なんで私を呼んだんだよ……)




17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:05:12 ID:ZH2u/C/+0


次男「じゃあさ」

次男「手っ取り早く、ここにいる人数で割るってのはどうだい?」

長男「なるほど、一理あるな」

長女「それが一番平等だわ!」

弟「おお、それならオレももらえるなァァァ!」

長男嫁「わらわも賛成じゃ!」

次男「よぉーし、じゃあさっそく1000億を6で割ると──」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

次男「ごめん、ポチを忘れてた。じゃあ7で割ろう」




18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:07:39 ID:sXzUvbv9O


ポチて




19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:09:17 ID:ZH2u/C/+0


次男「さっそく、生前父さんが購入していたスーパーコンピュータで計算しよう」

次男「1000億÷7は、と──」カタカタ…

次男「…………」

次男「わ、割り切れない!」

妻「えぇっ!?」

長男「なんだと!?」

弟「ウソだろォォォ! そりゃまずいぞォォォ!」

ポチ「アォォォ~~~~~ン!」




20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:14:22 ID:ZH2u/C/+0


長男嫁「割り切れぬのなら、いっそ小数点以下を切り捨てたらどうじゃ?」

次男「それだと142億8571万4285円っていう」

次男「すごく中途半端な数になっちゃうんだ!」

弟「半端すぎるゥゥゥ!」

妻「そんな中途半端な金額の遺産なんか、もらわない方がマシザマス!」

長男「お袋のいうとおりだ! なんだよ4285円って!」

長女「でも4285円もあれば、ユニクロでなにか買えるわね」

ポチ「ワン!」




22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:18:15 ID:sXzUvbv9O


ユニクロて




23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:19:20 ID:ZH2u/C/+0


次男(なんとかして割り切れるようにする方法は──)

次男「そうだ!」

次男「弁護士さん、あなたも遺産を相続して下さい!」

次男「7人が8人になれば、偶数になって割り切れるはず!」

弁護士「え!?」

妻「それがいいザマスね!」

長男嫁「ナイスアイディアじゃ!」

弁護士「いや、私は赤の他人なんですけど」

長女「この際、赤でも青でもなんでもいいわよ!」




25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:24:30 ID:ZH2u/C/+0


次男「1000億÷8は、と──」カタカタ…

次男「割り切れた!」

長男嫁「いったいいくらになったのじゃ!?」

次男「125億!」

妻「でかしたザマス!」

弟「いよっしゃァァァ! キリがいいィィィ!」

長男嫁「うむ、よくやったのう。さすがわらわの義理の弟じゃ」

長女「やったわ!」

ポチ「ワォォォォォ~~~~~ン!」




29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:28:57 ID:ZH2u/C/+0


妻「125億もあれば、十分ザマス!」

弟「兄貴ィィィ! ありがとうゥゥゥ!」

次男「ボク、新しいパソコンが欲しかったんだよね」

長男嫁「わらわも満足じゃ」

長女「125億円って、しまむらでなにが買えるかしら」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

弁護士「私は赤の他人なんですが……」

長男「…………」

長男「みんな、ちょっと待てよ」




33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:33:51 ID:ZH2u/C/+0


長男「みんな仲良く、1000億をキレイに八等分」

長男「たしかにもっとも理想的な解決方法だ」

長男「だが、みんなの本音はきっとこうだろう?」

長男「どうせなら“全額自分が欲しい”と」

妻「!」

弟「!」

長男嫁「!」

次男「!」

長女「!」

ポチ「!」

弁護士(いや、私は別に──)




36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:38:43 ID:ZH2u/C/+0


妻「たしかにもらえるものなら、全部欲しいに決まってるザマス」

弟「一人占めしてえよォォォ!」

次男「そりゃそうだよ……なんたって1000億だもん」

長女「1000億もあれば、イオンでなんだって買えるしね!」

ポチ「ワオォォォ~~~~~ン!」

長男嫁「しかし、長男よ。どうやってその一人を決めるのじゃ?」

長男「決まってるだろ」

長男「格闘トーナメントを開催するんだよ!」

長男「優勝した人間が、遺産を全額相続できるんだ!」




40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:45:13 ID:ZH2u/C/+0


【 第一回 富豪遺産争奪トーナメント 】

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44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:49:12 ID:ZH2u/C/+0


実況『さあ、ついに始まりました!』

実況『第一回、富豪遺産争奪トーナメント!』

実況『果たして優勝して遺産を全額ゲットできるのは、八人のうちの誰でしょうか!?』

実況『それではさっそく試合を開始いたしましょう!』

実況『第一試合は──』

実況『妻VS長女!』

実況『実の母と娘が遺産のために、目を¥マークに変えての真剣勝負!』

実況『いったいどんな試合になるのかぁっ!?』




48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:53:09 ID:ZH2u/C/+0


【 一回戦第一試合 妻VS長女 】

妻「実の娘だからって、手加減はしないザマスよ」

長女「望むところよ!」

妻「いくザマス!」ダッ

長女(タックル!? ──なら顔面にヒザを合わせれば!)ブンッ

妻「甘いザマス!」ガシッ

実況『あーっと! 妻、長女のヒザ蹴りに組みつくという高等テクニック!』

実況『そのままテイクダウンに持ち込んだァ!』

妻「アキレス腱固めザマス!」グイッ…

長女「いだだだだっ! 参ったわ!」パンパンッ

妻の勝利──




49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/07 23:58:35 ID:ZH2u/C/+0


【 一回戦第二試合 ポチVS弁護士 】

実況『犬と弁護士の異色対決、勝つのはいったいどっちだ!?』

弁護士「なんでこんなことに……」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」ダッ

ポチ「ワォンッ!」ガブッ

実況『ポチ、弁護士のケツに噛みついた! これは痛い!』

弁護士「ポチ、お手、お手っ!」サッ

実況『弁護士が手を差し出すも、ポチはシカト!』

ビリビリッ……!

弁護士「あひいいっ!」

実況『あ~~~~~っと、弁護士のズボンが破れ』

実況『朱雀と青龍と白虎と玄武が描かれたブリーフが丸見えだぁっ!』

弁護士「ギ、ギブアップ! ギブアップだ!」

ポチの勝利──




51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:04:21 ID:gzkGVYMx0


【 一回戦第三試合 長男VS次男 】

次男「いくよ、兄さん!」

長男「来い!」

次男「暗黒呪殺魔神撃!」

長男「聖天光輪飛翔拳!」

ズガァァンッ!

実況『お~っと、光の長男と闇の次男の、対極を成す拳がぶつかり合った!』

次男「ぐ……さすが兄さん。やはり暗黒の力では聖なる光には勝てない、か」ガクッ…

長男「いや、光あるところには必ず闇が生まれるものだ」

長男「今回俺が勝てたのは、時の運という名の気まぐれが俺に味方したからに過ぎん」

長男の勝利──




53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:09:52 ID:gzkGVYMx0


【 一回戦第四試合 弟VS長男嫁 】

弟「よっしゃァァァァァ!」

弟「甥の女房だからって、容赦はしないぜェェェ!」ダダダッ

ガシィッ!

長男嫁「むっ」

実況『弟は柔道七段!』

実況『長男嫁の襟を掴んで、そのまま投げるつもりのようです!』

長男嫁「無礼者ッ!」

弟「!」ビクッ

長男嫁「わらわを誰だと思っておる!」

長男嫁「おぬし如きがわらわに触れようなど、言語道断じゃ! 恥を知れ!」

弟「す、すみません……」

長男嫁の勝利──




55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:14:03 ID:gzkGVYMx0


【 準決勝第一試合 妻VSポチ 】

妻「長年可愛がってきたペットと戦うことになるザマスとは……」

妻「しかし、これも運命ザマスね! 全力でいくザマス!」ダッ

実況『一回戦のようなタックルだ! さあポチ、これをどうさばく!?』

ポチ「ワンッ!」ビュバッ

妻(速いザマス!)

実況『ポチ、妻の後ろに回り込んだ!』

ポチ「ワォンッ!」ガブッ

妻「痛いザマス!」

ビリリィッ!

実況『妻の着物が破れ、桃色のふんどしが丸見えだぁ~~~~~!』

妻「あんっ……私の負けザマスっ……!」ビクビクッ

ポチの勝利──




57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:19:17 ID:gzkGVYMx0


【 準決勝第二試合 長男VS長男嫁 】

長男「…………」

長男嫁「…………」

長男「どうした、なぜこない?」

長男嫁「おぬしこそ、なぜ来ぬのじゃ?」

長男「……俺は女房であるお前を殴れない。俺を好きなように殴ってくれ」

長男「お前は親父の遺産目当てで俺と結婚したんだろう?」

長男「だったら、俺を倒して決勝に進んでくれ」

長男「もしもポチを倒して優勝できたら、遺産は独占してくれてかまわない」

長男嫁「…………」

長男嫁「そう、わらわはおぬしの父の資産目当てでおぬしに近づき──」

長男嫁「そして結婚したのじゃ……」




60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:23:36 ID:gzkGVYMx0


長男嫁「じゃが、わらわは……わらわは──」

長男嫁「いつしか、本当におぬしのことを好きになっておった」

長男「ウソつけ! お前は金をなにより愛する女だったはずだ!」

長男嫁「ウソではない……」

長男嫁「わらわは、金以上に大切な……“愛”を知ってしまったのじゃ」

長男嫁「だからわらわも……おぬしとは戦えぬ」

長男「お前っ!」ガバッ

長男嫁「ああっ、わらわを抱きしめてくれるのか! この罪深きわらわを!」

長男「抱きしめてやるともっ!」ギュッ…

長男嫁「ああっ、わらわもじゃ! おぬしの胸板のなんと心地よいことか!」ギュッ

パチパチパチパチ……!




64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:29:22 ID:gzkGVYMx0


妻「これが……これこそが“愛”なのザマスね!」

弟「へっ、泣かすじゃねえかァァァ!」

次男「兄さん……お義姉さん……おめでとう!」グスッ…

長女「新婚でもなんでもないのに、見せつけてくれちゃって!」

弁護士「えぇ~っと、このトーナメントはどうなるのでしょうか?」

実況『二人とも棄権したようなものですので……』

実況『こうなりますと、自動的に優勝者はポチということなりますね』

ポチ「クゥ~ン?」




65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:33:22 ID:gzkGVYMx0


実況『というわけで、遺産を全額獲得するのはポチに決定でぇっす!』

妻「ポチ、1000億円獲得おめでとうザマス!」

弟「おめでとォォォォォ! うおおおおォォォォォ!」

長男「ポチ、おめでとう!」

長男嫁「めでたいことじゃ」

次男「やったね、ポチ!」

長女「ポチったら、おいしいとこ全部持ってちゃうんだから!」

弁護士「もうなにがなんだかさっぱりですが……おめでとう」

ポチ「…………」

ポチ「待てや」




68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:38:39 ID:gzkGVYMx0


妻「え……!?」

ポチ「なんやねん、この白ける結末は。ホワイトキックやで、ホンマ」

次男「ポ、チ……!? お前、しゃべれたのか!?」

ポチ「当たり前や、なめとんのかワレ」

ポチ「ところでお前ら、こんな結末でええんか」

ポチ「1000億やぞ、1000億」

ポチ「ホンマ大金やで……」

ポチ「何が買えるか、なぁんて勘定するのがアホ臭くなるくらいや」




70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:43:08 ID:gzkGVYMx0


ポチ「世の中にゃ、1億円のために宝くじを買う奴がぎょうさんおる」

ポチ「3億円事件は未だに語り草になっとる」

ポチ「たかだか数千円単位のトラブルでコロシをやった奴もおる」

ポチ「こんだけ話せば──」

ポチ「いくらお前らがボンクラでも、1000億がどんだけ大金か分かるやろ」

ポチ「これほどの大金をだれが手に入れるか……」

ポチ「ジャリが読むマンガみたく、トーナメントなんかで決めてええんか?」

ポチ「不服ある奴はおらんのか?」

ポチ「え、どうなんや?」




71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:48:39 ID:gzkGVYMx0


長女「でも……みんな合意の上でトーナメントを始めたわけだし……」

長男「そうだ。わざわざ実況の人まで呼んで……」

ポチ「たしかにな」

ポチ「それで、ワシみたいな人間ですらない犬っころが1000億を獲得……」

ポチ「なんやほのぼのしたオチがついてめでたしめでたし……」

ポチ「この話を聞いた奴は“まさか犬が遺産を相続するなんて”と微笑むやろな」

ポチ「せやけど、ホンマにこれでええんか?」

ポチ「しつこいようやが、1000億円は大金や」

ポチ「そんな大金、ワシみたいな雑種のクソ犬に渡して悔しないんか?」

妻「え、あなた血統書付の犬だったはず──」

ポチ「あんなもん、ワシを売っとったクソ業者の偽造に決まっとるやろ」




74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:54:34 ID:gzkGVYMx0


ポチ「──で、どうなんや?」

ポチ「1000億円、ワシに渡して後悔はないんか?」

シ~ン……

ポチ「1000億やぞ、もっと欲出してみいや! あがいてみろや!」

ポチ「欲っちゅうのはなにもあったらアカンもんちゃうで!」

ポチ「人間なんちゅうもんは、欲かいてでっかくなったようなもんなんや!」

ポチ「それともなにか?」

ポチ「お前らには人間の誇りっちゅうもんがないんかッ!!?」

バンッ!!!

シ~ン……




75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 00:58:55 ID:gzkGVYMx0


妻「わ、分かったザマス……ポチ」

妻「遺産の分配は私たち人間だけで決めるザマス……」

ポチ「分かればええんや。じゃ、ワシはメス犬と交尾しにいくで。ほな、サイナラ」トコトコ

シ~ン……

長男「──で、どうする? ポチはああいってたが……」

長男「お前、1000億欲しいか?」

長男嫁「いらぬ。わらわはおぬしがおれば十分じゃ」ギュ…

長男「叔父さんはどうです?」

弟「俺もいらないィィィ!」

長男「そんな! 最初は相続権がないことを悔しがってたじゃないですか!」

弟「兄貴の財産は、やっぱり兄貴の家族で分けるべきだろォォォ!」

弟「俺も兄貴ほどじゃないが、資産はあるしなァァァ!」

長男(今さら遺産を拒否するなんて、なんて身勝手な人なんだ……!)




80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:04:40 ID:gzkGVYMx0


長男「じゃあ、お前たちは?」

次男「ボクもいらないよ。兄さんが全部相続してくれよ」

長女「あたしも……。なんだか疲れちゃった」

長男「お前たち、俺の兄弟だろ!? 遺産をもらってくれよ! 分けようぜ!」

次男「絶対イヤだ」

長女「あたしも」

長男「弁護士さん! どうです、1000億欲しいでしょ!?」

弁護士「いいえ、いりません」

弁護士「もし強引に私に遺産を相続させるというのなら、あなたを訴えます」

弁護士「六法全書の力で、あなたを社会的に完全滅殺します」

長男「うぐっ……。そうだ、トーナメントの実況やってた人に相続させれば──」

長女「実況の人はポチが怒ってる間に帰っちゃったよ」

長男「ちくしょう! あのヤロウ、遺産を渡されることを恐れて逃げやがったか!」




87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:11:41 ID:gzkGVYMx0


弟「ここはやっぱり、長男がもらうのがスジなんじゃねえかァァァ!?」

次男「そうだよ、兄さんが全部相続してよ」

長女「うんうん、それが一番丸く収まると思う」

長男「なんだと……!」

長男「みんなして、俺に遺産を押しつけようってのか!」

長男「ゆ、許さねえ! こうなったらみんなブッ殺してやる!」

長男「ブッ殺して、死体になったお前たちに無理やり遺産を相続させてやるっ!」

次男「よせっ、兄さん!」



長男嫁「ああっ、遺産争いで殺人事件が起こってしまいそうじゃ! なんたること!」

妻(どうすればいいザマスか、あなた……!)

妻(こんな時、あなたが生きていればみんなを止めてくれるザマスのに……)




92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:16:17 ID:gzkGVYMx0


すると──

富豪「やめるんじゃ!」

弟「兄貴ィィィ!?」

長男「親父!?」

長男嫁「義父上!?」

次男「父さん!?」

長女「お父さん!?」

弁護士「富豪さん!?」

妻「あなた!?」

妻「たしかに死んだハズなのに……どうして生きているザマスか!?」




94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:21:44 ID:gzkGVYMx0


富豪「“地獄の沙汰も金次第”というじゃろ?」

富豪「だから閻魔さんに金を払って戻ってきたのじゃよ!」

富豪「今頃、現世のワシの財産から、生き返るための代金が引かれているはずじゃ」

妻「ちなみにいくら払ったザマスか?」

富豪「ざっと1000億円じゃ」

妻「本当ザマスか!? よくやってくれたザマス! さすが私の主人ザマス!」

長男「これで……俺は遺産をもらわずに済むんだな」ホッ…

長男嫁「よかった、よかった。わらわも一安心じゃ」




96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:26:37 ID:gzkGVYMx0


富豪「さぁて、生き返った記念にパーチーでもやるかのう」

妻「でも、1000億も払ったのに、パーティーをやるお金はあるザマスか?」

富豪「心配無用じゃ」

富豪「ワシには、税務署の網をくぐり抜けた隠し財産がいくらでもあるでのう」

妻「そんなことやってるから、地獄に落ちたんザマスよ……」

弟「やっぱ兄貴は最高だぜェェェ!」

長男「まったく親父らしいというか、なんというか……」

長男嫁「うむ、人騒がせな御仁じゃ」

次男「でもよかったよ、やっぱりボクらには父さんがいないとね!」

長女「お帰りなさい、お父さん!」

弁護士「……私、帰っていいですか?」



こうして遺産戦争は終結した──

めでたしめでたし。




100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:32:10 ID:4VBqjym30







101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:33:37 ID:/j1b1uxhi


乙乙




103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 01:41:30 ID:xOBFn4U80


お疲れ様!!




107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/08 02:06:42 ID:bl9R7Ev7O


弁護士乙







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