1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:26:41 ID:i1O8WJlJP
それは突如として起きた。
暴走する『幻想猛獣(AIMバースト)』向けて、それは獄炎の塊として上空から落ちて来た。
『幻想猛獣(AIMバースト)』は氷結系り能力で防ごうとしたが、意味を成さず、核まで潰され消滅した。
木山(バカな……。一万人の能力者の力場の塊である『幻想猛獣』を瞬時に破壊した……?)
御坂「――終わった、の?」
否。
本当の危機はこれからであった。
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:27:32 ID:i1O8WJlJP
燃え盛る地面から、ユックリと上昇を始める。
上半身裸で、半ズボン。首には赤いマフラーを巻き、触手のような髪型をした少年。
一度だけ木山と御坂に向けてギロッと睨みつけると、大声を上げて叫んだ。
ラハール「ウガァァアアアアア!!」
ただの魔力の塊を雨のように辺り一帯に降らす。
魔力の塊とはいえ、ラハールは魔王。一つの塊がトマホーク級ミサイルに匹敵する。
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:28:51 ID:i1O8WJlJP
御坂「な、なんなのよ。アイツは――」
木山「――マズイな。この無差別振りは、原子力実験炉にも影響が」
ドガドガドガドガドガドガ
ズドドドドドド
ドガッン
ズドーーーーーーーーン
まだ肝心の原子力実験炉には一つも当たってないが、敷地内には幾つもの魔力の塊が降り注ぎ、黒煙を上げていた。
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:30:14 ID:i1O8WJlJP
御坂「――ちっ」
スカートからコインを取り出すと、御坂はバチバチとコインに電撃を溜め、そして発射した。
『超電磁砲(レールガン)』
御坂美琴が最も得意とする攻撃手段である。
ラハールに向けて閃光が奔り、胸元へと直撃した。
しかし胸元には、ほんの少しだけ赤く腫れた程度で、大したダメージを与えられてはなかった。
御坂「冗談、でしょう」
ラハール「うが?」
ラハール「ァァァァァァァァァァァァァァ!!」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:33:29 ID:i1O8WJlJP
ラハールは空へ向けて腕輪を投げた。
腕輪は肉眼では見えないほど上空に飛ばされ、同時に巨大な魔法陣が現れる。
トントントン ガチャガチャ ガチャン
まるでロックを解除するかのような音を響かせ、中央に黒い穴が空く。
そこから巨大な隕石が、御坂達がいる位置へと向かってユックリと落ちてくる。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:34:54 ID:i1O8WJlJP
それを見た御坂は地面へと腰を落とした
御坂「あんなの――どうしようもないじゃない」
木山「……『幻想猛獣(AIMバースト)』の次が、あんな怪物とは。運がないな」
絶望的な雰囲気の中。
とある少女の声がした。
???「殿下みーつけた♪」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:35:49 ID:i1O8WJlJP
???「魔槍トライデント」
???「かぁらぁの――」
???「暴槍月廻り!!」
ラハール「――ァ」
ラハールに攻撃をしたのは魔神エトナ。
ピッチリとしたホットパンツに、黒色の胸当てだけという露出の高い格好をしており、外見的に風紀委員に連行されても仕方ない格好をしている。
月の地表にぶつかりながら半周して再び地球の地面へと落とされたラハールは、傷一つなく起き上がった。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:37:24 ID:i1O8WJlJP
御坂「な、なんで、ダメージがないのよ。普通、死ぬでしょう?」
ラハール「う……うーむ。こ、ここは? オレ様は一体、なにを」
ラハールは辺りを見回してから少し考え、ポツリと呟いた
ラハール「く。徐々に記憶が。そうだ。オレ様は三千世界を統べる魔皇神と戦っている最中に、ヤツの魔力に負けて――」
エトナ「ハァ? 何が魔皇神ですか。ただ虫歯の治療がイヤで、わざわざ別世界の地球まで逃げただけでしょう」
御坂「……虫歯の治療が嫌で」
木山「……逃げた?」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:39:49 ID:i1O8WJlJP
エトナ「しかも虫歯の痛さに我を忘れて暴れ回るなんて――。魔王として恥ずかしくないですか?」
ラハール「ばっバカモノ! 人間がいる前で、大声で言うな! 魔王としての沽券と矜持がッ」
エトナ「ハッ。そんなもの、もう微粒子ほども残ってませんよ」
エトナ「と・に・か・く、大人しく歯医者に行って下さい殿下」
ラハール「断るッ! 誰があんな歯医者に行くものか!!」
エトナ「魔界の歯医者なんてあんなものですよ? 麻酔なしは当たり前。どれだけ痛く治療するかを日夜研究してるんですから」
エトナ「これもすべて、シシリーちゃんの作ったお菓子を食べても、歯磨きをしなかった殿下の自業自得なので諦めて下さい」
ラハール「――」
どうやってこの場を逃げるか算段をするために上を向くと、メテオインパクトが発動しっぱなしであった。
地球の重力に捉えられているため、キャンセルはもうできない。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:41:11 ID:i1O8WJlJP
ラハール「む。そう言えば、メテオインパクトを発動したままだったな……」
ラハール「エトナ。協力しろ。あのメテオを破壊するぞ」
エトナ「えー。なんでそんな事をしないといけないんですかー」
ラハール「俺がしたことだな。部下であるお前が協力するのは当然だ!」
エトナ「……殿下が自分のしたことに責任を取ろうとしてる? 何か企んでませんか?」
ラハール「た、企むはずがなかろう!」
ラハール「そんな事より全力で行くぞ!」
エトナ「――めんどくさいなー、もう」
ラハール「魔王玉!!」
エトナ「カオスインパクト!!」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:43:13 ID:i1O8WJlJP
魔王と魔神の攻撃が、混ざり合い落ちてくる隕石に向かっていく。
一瞬、強烈な光を発すると、落ちてくる隕石は、文字通り消滅した。
御坂「すごっ」
木山「――能力者ではないようだが、彼らは一体」
エトナ「さっ、メテオも破壊したことだし、魔界の歯医者に行きますよ、でん……」
ラハールが居た位置には、ラハールの影一つもなくなっている。
どうやらメイオを攻撃した時にあった猛烈な光の時に、エトナの隙をついて逃げ出したようだ。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/13 01:45:47 ID:i1O8WJlJP
エトナ「あの、ガキぃ。珍しくまともな事を言ったと思ったら、やっぱり企んでたのね」
エトナ「――逃せませんよ、殿下。こうなったら意地でも、魔界で一番不人気の歯医者に行って貰いますから――」
そう憎しみを込めて呟いてエトナは、光に包まれると姿を消した。
御坂「……なんだったのよ、一体」
木山「さぁな――。だが、お陰で『幻想猛獣(AIMバースト)』は止まった」
御坂「下手するとメテオで学園都市が吹き飛ぶところだったけどね」
木山「ハハ。そうだな」
遠くから警備員の車両が何台も御坂達の元へ向かってくる。
御坂(アイツらが何者か知らないけど、もう関わりたくないわ)
御坂(命が幾つあっても足りなさそうだしね)
-終劇-
(※元ネタは電撃マオウの6月号のディスガイア4)
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