1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:04:42 ID:dHo5qs5Q0


恒一「いつまで実家に寄生するんですか?」

怜子「うぅ…」

恒一「怜子さんくらいの年齢の社会人だったら、普通は一人暮らししてますよね」

怜子「うぅ…」

恒一「しかも料理はお婆ちゃんか僕任せで家ではぐーたらしてばっかりだし」

怜子「うぅ…」




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:06:10 ID:dHo5qs5Q0


恒一「学校で『あんな美人でしっかり者の三神先生と同居なんて羨ましい』って」

恒一「そんな風に言われる度に僕がどんな気持ちになるか分かりますか」

怜子「うぅ…」

恒一「家じゃだらしないのになーとか思いつつ、気を遣ってイメージを壊さないようにしてますけど」

怜子「うぅ…ありがとう、恒一くん」

恒一「どういたしまして……じゃなくてですね」




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:07:13 ID:dHo5qs5Q0


恒一「このままじゃ本当に嫁ぎ遅れちゃいますよ」

怜子「ぐさっ」

恒一「なんですかそれ……ふざけてます?」

怜子「……ごめんなさい」

恒一「はい。じゃあ続けますけど、良い機会だし一人暮らしを考えてみるのはどうですか」

怜子「……やだ」




7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:09:42 ID:dHo5qs5Q0


恒一「『やだ』って……子供じゃないんですから」

恒一「怜子さんがそんなこと言っても可愛くないです」

怜子「ぐすっ」

恒一「またそうやってふざける」

怜子「」グスッ

恒一「えっ? 本当に泣いちゃったんですか? 嘘ですよね?」

怜子「うそです」

恒一「怒りますよ」




10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:15:10 ID:5oSAE6940


怜子「ごめんなさい」

恒一「次はないです」

怜子「……はい」シュン

恒一「そもそも、何でそこまで一人暮らししたくないんですか」

怜子「うぅ…それは……」

恒一「それは?」




13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:17:09 ID:5oSAE6940


怜子「その……」

恒一「……」

怜子「ほら……」

恒一「……」

怜子「うん、つまりね……」

恒一「……」

怜子「あっ、ほら、私は恒一くんの保護者代わりだから!」




14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:18:22 ID:5oSAE6940


恒一「明らかに今思い付いた理由ですよね」

怜子「そ、そんなことはない……けれど」

恒一「そもそも保護者ならお婆ちゃんがいるし」

怜子「……はい」

恒一「それについ先月、三者面談やったばっかりですよね」

怜子「……はい」




16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:23:12 ID:5oSAE6940


恒一「その時に僕の前に座っていた先生は?」

怜子「私です……」

恒一「僕の隣に保護者として座っていたのが?」

怜子「母さんです……」

恒一「その通りです」




17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:24:31 ID:5oSAE6940


恒一「そういえばあの時」

三神「その話は止めましょう、ね?」キリッ

恒一「三神先生モードになっても駄目です」

怜子「うぅ…」

恒一「そもそも普段から家で話すから、すぐに話すことが無くなって」




19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:28:35 ID:5oSAE6940


恒一「途中から三者面談じゃなく」

怜子「こ、恒一くん、そういえば昨日ね……」

恒一「お婆ちゃんが怜子さんを面談する感じになってましたよね」

怜子「うぅ…」

恒一「『怜子、まだ良い人は見つからないの?』」

恒一「『母さん、怜子の花嫁姿が早く見たいわ』って少し寂しそうに」

怜子「思い出すと本気でぐさっと来るからやめて……」

恒一「はい」




20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:31:29 ID:5oSAE6940


恒一「じゃあ話を戻して、他に理由は?」

怜子「その……」

恒一「……」

怜子「えっと」

恒一「……」

怜子「あっ、ほら、家賃が勿体ない!」




24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:38:29 ID:5oSAE6940


恒一「……なるほど」

怜子「ほっ」

恒一「でも怜子さん、前に言ってましたよね」

怜子「えっ?」

恒一「実家暮らしだからお金が貯まる一方だーって」

怜子「そ、それは……」

恒一「それに、お婆ちゃんが言ってました」




26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:45:19 ID:5oSAE6940


恒一「『怜子が家にお金を入れてくれるのは有難い』」

恒一「『親孝行な優しい娘に育って本当によかった』」

恒一「『でも、どうせならそのお金を自分のことに使ってほしい』」

恒一「『お洒落に気を遣って、男性とデートしたり……』って少し寂しそうに」

怜子「……お母さんの話題は心に来るので本当にやめてください」

恒一「はい、分かりました」

怜子「うぅ…というか」




27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:48:58 ID:5oSAE6940


怜子「こ、恒一くんは、何でそんなに私を追い出したいの?」

恒一「いえ、追い出したいとかではなくて……」

怜子「うそ」

恒一「嘘じゃないです」

怜子「本当は、好きな女の子を家に連れ込むのに邪魔だなーとか思ってるんでしょ」

恒一「…………違います」

怜子「えっ? その間はなに? 冗談だったのに」




31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/14 23:55:09 ID:5oSAE6940


怜子「恒一くん、好きな人いるの?」

恒一「まあ……一応は」

怜子「えっ? 誰? 誰が好きなの?」

恒一「僕のことは別にいいんです。それよりも一人暮ら――」

怜子「……見崎さん?」

恒一「違います」

怜子「……赤沢さん?」

恒一「違います」

怜子「じゃあ……」




41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:00:59 ID:Jr2/L+N30


恒一「というか、僕は同世代には興味無いので」

怜子「……上? それとも……まさか、下?」

恒一「この歳で年下好きとか流石にないです」

怜子「へ、へぇ~、じゃあ、恒一くんって年上好きなんだ」

恒一「まあ……」

怜子「そっか、そうなんだ……ふふっ」




42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:03:02 ID:Jr2/L+N30


怜子「恒一くん、恒一くん」

恒一「なんですか? 自分を指差して」

怜子「わたし、年上」

恒一「知ってますけど」

怜子「恒一くんが好きな女性は?」

恒一「……年上です」

怜子「ふふっ」




52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:10:50 ID:Jr2/L+N30


恒一「……水野さんです」

怜子「えっ?」

恒一「あ、もしかして覚えてないですか? 水野くんのお姉さんで看護師の……」

怜子「何度も会ったし覚えてるけど……えっ?」

恒一「それで話を戻しますけど、一人暮ら――」

怜子「ちょっと待って、恒一くん、少し待って」

恒一「はい?」




54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:15:16 ID:Jr2/L+N30


怜子「えっ? 水野さんが好きなの?」

恒一「はい」

怜子「確かに可愛らしい人だし、恒一くんと話も合うみたいだったけど……」

怜子「好きなの?」

恒一「はい」

怜子「……そっか」

恒一「……」

怜子「……そう、なんだ」




56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:17:14 ID:Jr2/L+N30


恒一「まあ、嘘ですけど」

怜子「そっか、うそ……って、えっ? 恒一くんっ!?」

恒一「そういえば、嘘泣きの仕返しがまだだったなーと思って」

怜子「うっ、それを言われると強く出られない……けど」

恒一「じゃあ話を戻しますが――」

怜子「ちょっと待って、どこからが嘘?」




58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:20:26 ID:Jr2/L+N30


怜子「水野さん? 年上好き?」

怜子「それとも好きな人が居るってところから?」

恒一「……水野さんが好き、って言うのがです」

怜子「そ、そっか」

恒一「はい」

怜子「…………」ソワソワ




59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:21:56 ID:Jr2/L+N30


恒一「止めてくださいよ、何か急にそわそわするの」

怜子「……そわそわなんてしてない」

恒一「怜子さんが思ってるようなことはないですから」

怜子「わ、私が何考えてるか恒一くんに分かるの? それが正しいか分からないじゃない?」

恒一「……まあ、そうですけど」

怜子「試しに言ってみて? 合ってるかどうか」




62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:23:46 ID:Jr2/L+N30


恒一「僕が」

怜子「恒一くんが?」

恒一「怜子さんを」

怜子「わ、私を?」

恒一「……好き、みたいな」




63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:25:47 ID:Jr2/L+N30


恒一「そういうのはないので、照れるのはやめてください」

怜子「……て、照れてない」

恒一「本当やめてください。こっちまで恥ずかしくなります」

怜子「で、でも『好き』って言う時に恒一くんも少し照れてたよね?」

恒一「……照れてないです」




64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:27:29 ID:Jr2/L+N30


怜子「ほ、本当に?」

恒一「……はい」

怜子「ぜ、絶対照れてたけどなー」

恒一「照れてません」

怜子「じゃ、じゃあもう一回言って? 照れてないなら大丈夫よね」

恒一「…………分かりました」




66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:28:47 ID:Jr2/L+N30


恒一「怜子さん、好きです」

怜子「うぅ……」

恒一「言わせといて自分が照れるの止めてくださいよ!」

怜子「だって……」

恒一「だってじゃなくて」




68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:30:33 ID:Jr2/L+N30


怜子「……恒一くん」

恒一「はい?」

怜子「私も恒一くんのこと、好き」

恒一「……僕は照れませんよ、別にそんなこと言われたからって」

怜子「す、素直じゃないんだから、恒一くんは……顔赤いよ?」

恒一「……怜子さんには言われたくないです」




69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:32:15 ID:Jr2/L+N30


怜子「恒一くん……」

恒一「はい?」

怜子「何で私が一人暮らししないか、だけど」

怜子「……恒一くんと離れるのが嫌だなーって言うのが、本音だったりして」

恒一「ま、またそんな冗談を……って、顔真っ赤じゃないですか!?」

怜子「うぅ……やっぱり言うんじゃなかった……」




70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:33:30 ID:Jr2/L+N30


―――――――扉―――――――

祖母「もう、怜子は手遅れね……」

祖父「可哀想になー」


おわり




74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:37:53 ID:mAY7SCS50







77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/15 00:39:04 ID:UzadNN6i0


おつおつ







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