1: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:04:36.23 ID:YIgShNF80
2: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:05:20.49 ID:YIgShNF80
むかしむかし、あるところに、それはそれは仲の良いウサギとカメがおりました
ある日、ウサギはカメにこう言います
「なぁ、カメよ」
「もう長い付き合いになるけれど、いつも何処に行くにも、オマエさんのせいで遅れてしまうんだ」
「こないだの、山のお祭りを見に行く約束だってそうだ。着いた頃には、お祭りは終わってしまっていたじゃないか」
「オマエさんは何でそんなに足が遅いんだい?」
するとカメは、こう答えました
「なぁ、ウサギよ」
「もう長い付き合いになるけれど、いつも何処に行くにも、オマエさんに追いつくのに精一杯なんだ」
「もうちょっと、ゆっくり歩いてくれないか?」
引用元:新訳・ウサギとカメ
3: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:06:03.78 ID:YIgShNF80
それを聞いたウサギは怒りました
「オマエさんが遅いのが悪いんじゃないか」
それを聞いたカメも怒りました
「オマエさんが速いのが悪いんじゃないか」
二人は散々言い争った結果、近くの丘の上まで競争する事にしました
ウサギが勝てば、カメはもっと速く歩くと約束し
カメが勝てば、ウサギはもっと遅く歩くと約束し
よーい、どんで走り始めました
4: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:08:14.87 ID:YIgShNF80
あっという間にウサギとカメの距離は離れてしまい、ウサギにはカメが、カメにはウサギが見えなくなってしまいました
それでもカメは、一生懸命走りました
ここで走るのを諦めてしまえば、ウサギはきっと自分を嫌ってしまうだろう
歩くのが遅い自分を置いて行くような事はせず、必ず待っている
カメは、ウサギの事を大事な、大事な友だと思っているのです
ウサギとの約束を破る訳にはいかない、そう思って一生懸命走りました
5: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:08:51.17 ID:YIgShNF80
いっぽうウサギは、走るのをやめてしまいました
自分は、カメにヒドイ事を言ってしまったと、気付いたのです
思えばカメは、いくら歩くのが遅くても、必ず自分に着いて来てくれました
おそいぞ、とからかっても、ごめんな、と、曖昧に笑いながら謝る
その顔が憎めなくて、ウサギはカメを、大事な、大事な友だと思っているのです
そうだ、カメに謝らなくちゃいけない
そう思って、道端の切り株に腰掛け、カメを待つ事にしました
6: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:09:43.61 ID:YIgShNF80
けれど
待てども待てども、カメの姿が見えません
待てども待てども、カメの姿が見えなくて
ウサギは寂しくなりました
ウサギは寂しく泣きました
ウサギは寂しく死にました
7: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:12:32.49 ID:YIgShNF80
その数刻後、切り株のそばを、やっとカメが通りました
けれど
カメは気付きません
切り株のそばで寝ているウサギが、死んでしまっている事に
カメは気付きません
切り株のそばで寝ているウサギが、カメを待っていた事に
カメは一生懸命走りました
ウサギとの約束を破る訳にはいかない、そう思って一生懸命走りました
8: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:16:11.78 ID:YIgShNF80
丘の上に到着したカメは、ウサギを待ちました
寝ている横を、わざと起こさなかった事を謝ろうと
カメはウサギを待ちました
ウサギは驚くか、それとも怒るか
カメはウサギを待ちました
何年でも、何万年でも待ちました
それでもウサギが来ないので
カメは寂しくなりました
カメは寂しく泣きました
カメは寂しく死にました
おしまい
11: ◆gKIVhd2ytqPb 2013/10/29(火) 19:42:56.88 ID:YIgShNF80
『おまけ』
ガチャ
モバP「すまんきらり、遅くなった」
きらり「もーPちゃん遅いにぃ!」
こずえ「……」スー スー
モバP「ん?何してたんだ?」
きらり「ご本読んであげてたんだにぃ!」
モバP「そうかー、ありがとな。どんな本?」
きらり「えっとねー……」
バタン
『おまけ』おしまい
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